このサイトで注目している分子量が大きな海洋生物由来のポリケチド化合物は、超炭素鎖化合物 (Super-Carbon-Chain compounds) という名前で呼ばれることもあります。
もともとは、この記事(D. Uemura, in Bioorganic Marine Chemistry; P. J. Scheuer, Ed.; Springer, 1991, 4, 1-31.)で登場した呼び方ですが、上村先生が上の世代の某偉い先生にこの名前をツッコまれて以来、この呼称を使うのをためらうようになっていたようです。
一方で、その何年か後、別のいくつかの研究グループでこの呼び方を使うところが出てきました。このような化合物を一言で表現する名前として、今でも研究テーマなどで使われる呼び方になっています。
分子量数百から数千の化合物のことを、「中分子」という呼び方をすることも広がりつつあります。海洋生物由来の大きなポリケチド化合物もこのカテゴリーに属する化合物群なのですが、中分子という単語が、主にペプチド化合物の機能解明や活用の場面で多く使われていたこともあり、非生体高分子のポリケチド化合物が中分子の世界であまり目立たない存在となっています。
ゆえに、一周回って、超炭素鎖化合物という言葉が大きな海産ポリケチド化合物を表す言葉として分かりやすいという事になったのかなと思います。